施工前後比較写真
施工前
施工後
点検・調査結果報告
Ⅰ、屋根部分(塗膜の劣化・剥離、その他の不具合について)
屋根材はコロニアル(新生スレート)と呼ばれるセメント系の素材です。当時のコロニアルには、アスベストが含まれており丈夫なのですが、現時点ではアスベストの使用が法律で禁止され、解体する際にも専門の業者に委託する分費用がかさみます。現状的には使用されている塗料の性能面から考慮しても、既に塗膜は劣化・剥離が生じて、塗り替え時期が来ています。次回は弱溶剤系のシリコン塗装が費用対効果の面からお勧めです。
Ⅱ、外壁部分(塗膜劣化、汚染の発生状況)
外壁は基本的にモルタル壁で、その上に複数回水性塗装が行われています。外壁に使用する塗料は臭気の問題があるので、基本的には水性塗料を使用するのが一般的です。表面の塗膜は経年劣化で防水性能が低下しており、チョーキングも見られます。別紙見積書には、3パターンの塗料を選択できる見積りを作成しました。
Ⅲ、外壁部分(躯体亀裂の発生状況)
外壁がモルタル製なので、年数が経過するとともにモルタル内部の水分が低下して、ひび割れが発生し易くなります。その他、外壁目地の有無などもひび割れに関係します。過去に微弾性の塗装が行われているので、それほどひび割れは目立っていません。ひび割れ部分には、変性シリコンコーキングなどで補強を行い、下塗り→中塗り→上塗りの順に塗料を塗り重ねます。
Ⅳ、軒裏天井(汚染や塗膜劣化・漏水の有無)
軒裏天井にはケイ酸カルシュウム板が使用されており、水性アクリルエマルジョン塗装が行われています。標準的な仕様です。
現状的には、雨や紫外線は直接影響しない場所なので、他の部分に比べて塗膜劣化が少ないと判断します。玄関横の軒裏は黄砂・天井裏の排気などで汚れが目立ちます。現状的には雨漏りの形跡は見られません。次回塗り替えの際には、ワンランク上の塗装を行います。
Ⅴ、破風板・幕板(塗膜劣化、汚染の発生状況)
破風板は木製なので、塗膜が劣化すると腐食しやすくなります。従って腐食する前に、塗膜で防水性能を高める事が重要です。特につま側の破風板(横樋が付いていない箇所)は紫外線や雨が直接影響するので、塗膜の劣化や剥離が早いです。 幕板(帯部分)はモルタルなので腐食は生じないものの、割れや欠けが生じやすいので、その点注意が必要です。
Ⅵ、雨樋(劣化、退色・変形・破損などの発生状況)
塩化ビニール製の雨樋は、紫外線の影響で、弾力性が低下して、30年程度で割れや欠けが生じやすくなります。固定金具の不具合や勾配不良なども発生し易くなるので、今回足場を組むタイミングで雨樋の(一部)交換をお勧めしました。工事の選択肢は2通りあります。①縦・横雨樋の全交換 ②横樋と桝のみ交換する方法の2種類を提示しました。金額面も考慮してご検討ください。
Ⅶ、木部・鉄部(塗膜劣化、汚染・腐食の有無)
外部の木部は、雨水の影響により腐食が進行します。特に塗料による保護がなく、水はけが悪い状態であると、侵食のスピードが速くなります。現状が塗膜の保護が失われた状態であるならば、早めの処置が望まれます。腐食が進行すると、木部内部に孔が空いたり(孔食)、断面欠損、脱落などの強度低下に陥ってしまい、漏水などを招く場合があります。
Ⅷ、外塀,他(汚染の発生状況や工事の際の注意点)
1,外塀はブロックの上にモルタル仕上げ、その上から数回塗装が行われています。再塗装で注意する点は、塗膜にフクレが生じない塗料を選ぶ事です。ブロック内に溜まった水蒸気を外部に(ある程度)排出可能な塗装を行います。2,西側の波板は足場仮設の前に外す必要があります。割れた場合は、実費で交換を行います。
Ⅸ、ベランダ・ベランダ床防水層(防水の種類や再塗装の有無、他)
開発許可申請書によれば、ベランダ床防水はモルタルコテ押え防水と記載がありましたが、実際は金属防水(プロムナールーフ)でした。
プロムナールーフは基本的に塗り替えなどは行う必要は無いと判断します。(*既存防水層の上からウレタン防水工事などは適切ではありません)
笠木(手摺の下グレー部分)は塗装すると美観が保てます。
Ⅹ、シロアリの点検結果(白蟻の有無・床下及び、住宅廻りの環境について)
1月17日13時より、シロアリ点検作業を行った結果をご報告いたします。白蟻自体は確認できませんでした。但し、床下に蟻道を確認しました。
結果的には、シロアリは構造体に被害を及ぼしていると判断します。①基礎工事はヌノ基礎で土の中に白蟻の巣がある事が想定されます。
②束石から柱や根太・その他にシロアリが木材を食い荒らし、各部へ広がっている可能性も否定できません。③家の廻りの木材及び一部の植木を排除する事お勧めします。その他、床下換気扇や屋根裏の間危険も交換が必要です。
施工写真ギャラリー
【南東面】
【北面】
【西面】
(1)点検・見積時
築37年の木造建築で、過去にも塗り替えが行われていました。 屋根や外壁など全体的に塗膜の劣化が見られ、汚れなどの付着も家のイメージが暗くなりがちでした。
【屋根塗膜劣化】
【軒裏汚れ】
【外壁塗膜劣化】
(2)各部の状況
シンナーテストの結果、屋根の旧塗膜は水性塗料でした。木製の破風板や雨樋に使用されていた塗料は、弱溶剤系のウレタン塗料が使用されていました。全体的に見て、前回の塗り替えは、約10年前後から、塗膜の劣化が始まっていたと考えられます。
【シロアリの形跡】
【床下】
【蟻道】
(3)床下白蟻点検
白蟻に食われた木片が見つかり、 床下の湿気も気になるという事で、後日床下の点検(シロアリの有無)を行いました。 基礎はヌノ基礎で床下の土は湿気を含んでおり、束柱に蟻道が確認できました。床下換気扇も現在作動しておらず、最終的に報告書にまとめました。
【床下消毒】
【タイル目地穿孔】
【消毒剤注入】
(4)白蟻消毒
シロアリの駆除と予防のために、薬剤を使用した消毒作業を行いました。 床下に消毒剤を散布して、束柱・タイル目地・基礎部分などに穿孔消毒を行いました。
【旧換気扇撤去】
【新換気扇】
【新換気扇設置】
(5)屋根・床下換気扇の撤去と再設置
使用期間が過ぎている換気扇を外し、新たな換気扇を再設置しました。
【波板撤去】
【塀のフェンス】
【塀のフェンス撤去】
(6)足場設置のための前工事
足場を組む前に、足場設置の支障になるものを一時的に解体・撤去しました。
【作業中】
【足場組み】
【足場組み】
(7)仮設足場設置工事
近隣のお宅に挨拶状を配布した後で、仮設足場を組みました。
【屋根足場】
【屋根足場】
【屋根足場】
(8)屋根足場
今回は、屋根の勾配(角度)が急な為、塗装に支障があるので、屋根足場を組みました。
【屋根材の割れ】
【モルタル壁の割れ】
【屋根板金の交換箇所】
(9)足場仮設後の再点検
足場の上から、入念に異常個所の有無を点検しました。その結果、屋根材に一部割れが生じており、モルタル部分に割れが見られました。 一番重要な点は、屋根板金に一部交換された箇所がありましたが、板金を固定する為の下地木材が腐食しており、棟板金は下地の木材を交換して新たに棟板金を張り変える必要があります。
【コケ付着】
【ケレン中】
【ケレン後】
(10)屋根コグチのケレン作業
屋根や壁の高圧洗浄を行う前に、洗浄では綺麗にコケなどが除去出来ない場所を手作業で除去しました。
【屋根の洗浄】
【壁の洗浄】
【塀洗浄中】
(11)高圧洗浄作業
近隣への洗浄水の飛散に注意しながら、屋根、破風板、雨樋、外壁、窓、最後に塀の洗浄作業を行いました。
【施工前】
【施工中】
【施工後】
(12)サッシ枠や板金部分、縦樋などの拭き掃除
高圧洗浄後に乾燥した事を確認した後で、窓枠や庇の鉄板、縦樋その他を乾いた布で拭き掃除を行いました。微細な旧塗膜を拭くことで、養生の際のガムテープの糊が付着せず、最終的に仕上がりを綺麗にする為の重要な作業です。
【施工前】
【施工中】
【施工後】
(13)養生作業
非塗装面をビニールや布でカバーする作業を養生と云います。近隣のお車なども、専用のカバーで適宜行います。
【使用塗料】
【下塗り】
【下塗り】
(14)軒裏天井の下塗り
弱溶剤系の塗料ケンエースで、軒裏の下塗りを行いました。
【上塗り】
【上塗り】
【仕上げ】
(15)軒裏天井の上塗り
ケンエースで、再度上塗りを行いました。
【防錆塗料】
【留め金具サビ止め塗装】
【縦樋下塗り】
(16)新設雨樋・金具の下処理
既存の雨樋は、金属部分に錆が発生していました。錆びのケレンを行い→錆止め塗装を行いました。その後、シリコン塗料で下塗りを行いました。
【交換前の横樋】
【横樋解体撤去】
【横樋新設】
(17)横樋の交換工事
雨樋は増築以外の横樋を金具も一緒に交換する事になりました。(縦樋は既存のまま)
【雨樋・金具ケレン作業】
【金属プライマー】
【プライマー塗布】
(18)新設雨樋・金具の下処理
新しい雨樋を既存塗装に色を合わせる目的、及び塗料の剥離を予防する為に、全体的にケレン作業を行い、金具にプライマー処理を行いました。
【横樋上塗り】
【横樋上塗り】
【縦樋上塗り】
(19)雨樋上塗り
雨樋を交換した部分も含めてクリーンマイルドシリコンで、再度上塗りを行いました。
【使用塗料】
【下塗り】
【下塗り】
(20)破風板の下塗り
木製の破風板をクリーンマイルドシリコン(現状色合わせ)で、下塗りを行いました。
【上塗り】
【上塗り】
【上塗り終了】
(21)破風板の上塗り
再度クリーンマイルドシリコンで、仕上げ塗装を行いました。
【既存鳩小屋】
【補強・下塗り】
【既存ルーバー撤去】
(22)屋根上鳩小屋の補修と下塗り
屋根上には、換気扇が設置してありました。既に作動しておらず、今回新たに換気扇を設置しました。雨や紫外線の影響が大きく、木部が腐食していたので、ルーバーを撤去しました。
【ルーバー新設】
【上塗り】
【完了】
(23)屋根上鳩小屋の新設と上塗り
新たにルーバーを作成(サービス工事)して、取付→上塗りを行いました。
【使用塗料】
【サビ止め塗装】
【下塗り】
(24)鉄部の防錆塗装と下塗り
鉄部は諸所に錆が発生しており、先ず錆を除去→サビ止め塗装→下塗りの工程で作業を行いました。*性能の良い塗料を使っても、サビ止め塗装を行っていなければ、直ぐにまたサビが発生する可能性が高くなります。
【屋根板金サビ止め塗装】
【窓庇の下塗り】
【シャッターボックスの下塗り】
1階屋根の板金部分、窓上ひさし鉄板部分、シャッター雨戸の収納部その他の板金部分は適宜防錆塗装を行い、その上から下塗りを行いました。
【ベランダ鉄部】
【ベランダ笠木】
【窓上ひさし】
(25)鉄部の上塗り
鉄部下塗りの乾燥状態を確認した後で、クリーンマイルドシリコンで、再度上塗りを行いました。
【シャッターボックス】
【玄関照明】
【基礎の雨切り板金】
鉄部下塗りの乾燥状態を確認した後で、クリーンマイルドシリコンで、再度上塗りを行いました。
【棟板金】
【棟板金】
【釘穴開け】
(26)屋根の棟板金補修工事
屋根上の棟板金は下地木部の経年劣化及び腐食が原因で、浮き上がっていました。屋根の傾斜が急な事もあり、何らかの対処が必要な状態でした。 今回は応急処置として、ビス固定の方法を選択しました。
【ビス穴コーキング処理】
【ビス穴コーキング処理】
【ビス穴コーキング処理】
(27)ビス固定とコーキング処理
全ての棟板金に、適宜ビスで固定した後で、変性シリコンコーキングを使用して、雨水が浸入しない様に処置を行いました。
【コーキングによる補修】
【下塗り塗料】
【屋根の下塗り】
(28)屋根の下塗り
点検の段階で、屋根に使用されている塗料は、水性塗料と判明(シンナーテストによる診断)していました。今回使用する遮熱シリコン塗装を行うために、ウルトラルーフプライマーで、下塗りを行いました。
【使用塗料】
【遮熱中塗り】
【遮熱中塗り】
(29)屋根遮熱シリコン中塗り
クールタイトシリコン(CLR-115)で、遮熱の中塗りを行いました。
【遮熱上塗り】
【遮熱上塗り】
【遮熱上塗り終了】
(30)屋根遮熱シリコン上塗り
再度、クールタイトシリコンで、仕上げ塗装を行いました。
【ひび割れ処理】
【下塗り】
【下塗り】
(31)塀の下塗り
塀の塗装はフクレが生じにくい水性塗装を行いました。
【上塗り】
【上塗り】
【上塗り】
(32)塀の上塗り
再度上塗りを行いました。
【コンセント漏電防止】
【コンセント漏電防止】
【波板取り付け】
(33)その他の工事
コンセントからの漏電防止の為の措置(サービス工事)を行い、足場を解体した後で、波板を再度復旧しました。
【工事完了】
【工事完了】
【工事完了】
(34)完了写真
全ての工事が終了しました。