施工前後比較写真
施工前
施工後
工事にあたって職人からのコメント
K様邸は築17年 初めての塗り替えでした。
窓枠や幕板、その他の素材(窯業系サイデングボード)の塗膜劣化や素材が傷んでいました。
これらの下地の補強等に特に注意しながら、工事を進めました。
点検・調査結果報告
Ⅰ、屋根部分(塗膜や素材の劣化具合)
久保山様邸の屋根は、コロニアル(新生スレート)と呼ばれる屋根材です。築年数が17年程度であれば、製造過程でアスベストの有無が重要になってきます。アスベストが混和されていれば屋根材は丈夫ですが、将来的に解体する際、アスベスト対策費用が必要と思われます。
アスベストが混和されていなければ、一般的に脆弱なので、高圧洗浄を行うと表面の塗膜が剥がれてしまう事が懸念されます。
Ⅱ、外壁部分(塗膜劣化、汚染の発生状況)
一般的に塗料の種類によって、防水性や耐候性能にも差が生まれます。アクリル系で5年前後、ウレタン系8年~10年程度、シリコン系12年~15年程度、フッソ系でも18年前後が現状と私は考えます。外壁の塗装に使用されている塗料は、劣化具合から推察すると、アクリル系又はウレタン系が使用されています。由って、築年数を考慮すれば、既に塗り替え時期が来ていると云えます。
Ⅲ、コーキング部分(ひび割れや切れその他の発生状況)
現状的には、ウレタンコーキングが使用されており、多くの場所でひび割れや切れが発生していました。主な原因はウレタンコーキングは紫外線によって、硬化が進み、切れやひび割れが発生し易くなるからです。ウレタンコーキングよりも性能的に優れた変性シリコンコーキングを次回は使用する事をお勧めします。変性シリコンコーキングを施行して、その上に下塗り→中塗り→上塗りの3工程が必要と考えます。
Ⅳ、軒裏天井(塗膜劣化、汚染・漏水の有無)
軒裏(天井)はケイ酸カルシュウム板が使用されており、水性アクリル塗装が行われています。仕様的には標準的な施工プランです。
但し、アクリル系の塗装なので、耐久性能は既に限度を越えた状態です。あと目立つのが、黄砂などの空気中の汚れが付着しており、全体的に暗いイメージになっています。雨漏りを意味するシミは見られませんが、足場を組んだ時点で再度点検する事が重要です。
Ⅴ、破風板や幕板、窓枠廻り(塗膜劣化、汚染の発生状況)
破風板や幕板、窓枠などは、サイデングボードを加工したものが使用されており、ウレタン塗装です。経年劣化により、表面の塗膜は防水効果が極端に低下しています。素材のサイデングボードは加工し易く、傷もつきにくい素材ですが、一旦雨水の浸食が起こると、性能が良い塗料をを塗っても、塗膜剥離が生じやすい欠点があります。この点から言っても、早めの塗り替えが急務と云えます。
Ⅵ、雨樋(劣化、退色・変形,その他不具合発生の有無)
雨樋は塩化ビニール製です。現状的には無塗装の状態です。素材が主に紫外線による劣化が生じており、弾力性の低下、勾配不良、金具のサビ、退色など、雨樋は交換時期が来ている様です。但し、工事費が高くなるので、今回は塗装するだけと云う選択もあります。メリット・デメリットを考慮する必要があります。雨樋を交換する場合は、足場を組んで再度見積もりを行います。
Ⅶ、金属部分の無塗装箇所の確認
金属部分で現場での塗装が可能な素材は鉄のみとお考え下さい。その他の金属(アルミ・アルミ鋳物・ステンレス・銅板・ガルバリュウム)などの金属は、焼付塗装でなければ塗膜剥離を起こす可能性が高くなります。又、鉄製であっても、塗装は避けた方が良い物もあるので、具体的に確認したいと思います。
Ⅷ、鉄部(塗装部分の確認)
鉄部は基本的に塗装可能です。但し、シャッター雨戸自体は無塗装が良いことは、金属部分で説明しました。サビが発生している箇所は、サビ止め塗装を行い、その上から下塗り→上塗りの順に塗装を行います。耐候性能を考えるならば、現状のウレタン塗装よりも、シリコン塗装をお勧めします。
Ⅸ、2階ベランダ周辺と床防水層の種類(防水床の無塗装について)
先ず、ベランダの床は、金属折板防水(プロムナールーフ)が使用されています。高圧洗浄を行いますが、直接この上にウレタン防水などを行ってはいけません。排水口付近も気をつけながら洗浄を行います。点検時にご指摘された内壁の割れについて、なんらかの強い力がかかって発生した模様です。交換するよりも、コーキングなどで補強を行い、塗装する方法がお勧めです。(費用対効果の面から考慮しました)
Ⅹ、外塀(汚染の発生状況)と気になる所
コンクリート製のブロックを組んでモルタルで仕上げ、その上に水性アクリルベルアート塗装が行われています。雨汚れが目立つ状態です。一番重要な事は、ブロック塀の内部に溜まった雨水が、温まって水蒸気となり塗膜の内側から逃げようとします。その際、塀塗膜が膨らむ可能性があるので、塀の塗料を選ぶ際は、この点を考慮して選ぶ必要があります。但し、100%フクレは生じないと云う保証はありません。
施工写真ギャラリー
【屋根材の劣化】
【破風板塗膜劣化】
【施工前 南側】
(1)工事前
屋根は全体的に劣化が進んでいました。破風板や窓枠廻り・幕板なども、表面の塗膜の耐候性能や防水性のが失われた状態でした。
【軒裏天井】
【チョーキング現象】
【割れ・脱落】
軒裏(天井)は、黄砂や空気中の汚れが付着して、家のイメージを暗くしがちです。 外壁塗膜の手で触ると、白い粉状の旧塗膜が付着します。これをチョーキングと云い、塗膜の劣化が進んで防水性能が極端に低下している証左です。
【仮設足場工事】
【仮設足場工事】
【仮設足場工事】
(2)仮設足場組み
家の全周に足場を組んで、塗料などが飛散しない様に、ネットを張りました。
【屋根の洗浄】
【壁の洗浄】
【ベランダ床の洗浄】
(3)高圧洗浄作業
近隣の住宅に汚れた水が飛散しない様に、十分配慮しながら、高圧洗浄機で汚れを洗い流しました。
【屋根】
【玄関上の壁】
【幕板部分のコーキング劣化】
(4)足場仮設後の再点検
高圧洗浄の後で、屋根から破風板・雨樋・幕板などを再度全体的に点検作業を行いました。屋根はほゞ素地が露出した状態になりました。コーキングも硬化していました。各部の塗膜も風化が進み、素地が傷んだ状態でした。
【グリース】
【除去作業】
【油分除去】
(5)玄関真上の窓枠グリース除去(サービス工事)
何か理由があったのでしょうが、玄関吹き抜けの窓枠にグリースが塗られていました。サイディングボードや塗装にも不具合が生じる為、除去して油分も完全に拭取りました。
【花壇側面にシリコンコーク】
【窓枠の上部にシリコンコーク】
【施工後】
(6)シリコンコーキング除去(サービス工事)
2階の花壇2箇所と窓枠に、シリコンコーキングが施工されていました。グリース同様に、シリコンコーキングは塗料を撥水してしまいます。完全に撤去しなければいけませんでした。
【サイディングボードの割れ】
【下地造り】
【復旧後エポキシパテ補修】
(7)ベランダ内壁割れ補強(サービス工事)
ベランダの中のサイデングボードが一部割れていました。一旦外してみると、下地がありませんでした。下地を造り、ビスで固定して、雨水が入らぬ様に、エポキシパテでカバーしました。
【エポキシパテ補修】
【変性シリコンコーキング】
【施工後】
パテが乾燥した後で、変性シリコンコーキングを目地に施工しました。
【殺虫材噴霧】
【網設置作業】
【施工後】
(8)コウモリ除けアルミ製の網設置(サービス工事)
現時点で北側の換気口2個所にコウモリが生息していました。殺虫材を噴霧して出て行った後に、換気口の入り口にアルミ製の網を固定しました。
【下端が外れかけている】
【下端が外れかけている】
【コーキングで固定】
(9)換気口の固定(サービス工事)
原因は不明ですが、換気口の下端が外れかけていました。外れる前に、コーキングで固定できました。
【施工前】
【施工中】
【施工後】
(10)枯れ木の処置について
枯れた庭木について、強風時に倒れる危険性があります。切断する方が良いと判断します。出来れば、シロアリの有無の点検を行い、点検後に切断する方が良いと思います。(木の切断と廃棄は別途有料になります)この点、ご指示を仰ぎ手いのですが。
【テーピング】
【シーラー塗布】
【変性シリコンコーキング充填】
(11)コーキング工事
コーキングが劣化していました。今回は熱に比較的強い、変性シリコンコーキングを施行しました。
【ならし】
【コーキング施工完了】
【コーキング施工完了】
同上
【玄関タイル面】
【床全面の養生】
【エアコン室外機養生】
(12)養生作業
塗装前に非塗。装面をビニールや布で覆う作業を養生と云います。綺麗に仕上げる為の重要な作業です
【使用塗料】
【ケレン作業】
【下塗り】
(13)縦樋下塗り
縦樋をクリーンマイルドシリコンで、下塗りを行いました。
【ケレン作業】
【下塗り】
【下塗り】
(14)破風板の下塗り
縦樋同様に、クリーンマイルドシリコン(SR-406)で、破風板の下塗りを行いました。
【ケレン作業】
【下塗り】
【下塗り】
(15)幕板の下塗り
クリーンマイルドシリコン(SR-406)で、幕板の下塗りを行いました。
【照明具のケレン】
【シャッターボックスケレン】
【下塗り】
(16)金属部分の下塗り
雨樋や破風板、幕板同様に、鉄板もケレン作業後に、下塗りを行いました。
【窓廻り】
【ベランダ周辺】
【エアコン室外機】
(17)養生作業
非塗装面をビニールや布で覆う作業を養生作業と云います。塗装を綺麗に仕上げる為の大事な作業です。その他にも、近隣の車も含めて風が強い日には、専用のカーシートを被せました。
【使用塗料】
【下塗り】
【下塗り】
(18)軒裏下塗り
弱溶剤系の塗料(エバーロックネクスト)で、軒裏の下塗りを行いました。
【上塗り】
【上塗り】
【上塗り終了】
(19)軒裏上塗り
下塗りと同じ工程で、軒裏の仕上げ塗装を行いました。
【使用塗料】
【下塗り】
【下塗り】
(20)外壁の下塗り
水性ミラクシーラーエコ(クリヤー)で、壁の下塗りを行いました。
【使用塗料】
【下塗り】
【下塗り】
(21)ベルアート面の下塗り
一部外壁にベルアート塗装が行われていました。微弾性の下塗り塗料(水性ソフトサーフSG)で、下塗りを行いました。
【使用塗料】
【中塗り】
【中塗り終了】
(22)外壁中塗り
水性セラミシリコン(SR-409)で、中塗りを行いました。
【使用塗料】
【中塗り】
【中塗り終了】
(23)外壁ベルアート面中塗り
南側の色替え部分は、ベルアート仕上げでした。水性セラミシリコン(SR-414)で、中塗りを行いました。
【上塗り】
【上塗り】
【上塗り】
(24)外壁の上塗り
中塗り同様に、水性セラミシリコンSR-409)で、仕上げ塗装を行いました。
【使用塗料】
【施工中】
【上塗り使用塗料】
(25)外壁ベルアート面上塗り
水性セラミシリコン(SR-414)で、ベルアート面の仕上げ塗装を行いました。
【使用塗料】
【下塗り】
【下塗り終了】
(26)屋根下塗り
屋根の下塗り塗料(マイルドシーラーEPOクリヤー)で、下塗りを行いました。下塗り塗料は密着性を高める為のエポキシ系塗料です。
【使用塗料】
【中塗り】
【屋根中塗り】
(27)屋根中塗り
ヤネフレッシュSi(RC-121)セピアブラウンで、中塗りを行いました。
【屋根上塗り】
【屋根上塗り】
【屋根上塗り終了】
(28)屋根上塗り
中塗りと同じ工程で、屋根の仕上げを終了しました。
【破風板上塗り】
【幕板上塗り】
【窓枠廻りの上塗り】
(29)各部上塗り
クリーンマイルドシリコン(SR-406)で、破風板・幕板・窓枠廻りなどの上塗りを行いました。
【雨樋上塗り】
【ライトカバー】
【照明器具上塗り】
雨樋やシャッターボックス、照明器具なども、上塗りを行いました。
【ベランダ床再度手洗い】
【郵便ポストさびケレン】
【防さび塗装】
(30)サービス工事
工事が一旦終わった時点で、ベランダの床などは水洗いしました。 郵便受けに錆が出ていたので、ケレン作業を行い、防サビ塗装を行いました。
【郵便受け塗装】
【門扉塗装】
【塀のケレン】
郵便受けや門扉はクリーンマイルドシリコンの同じ色で塗装しました。
【塀の下塗り】
【塀の上塗り】
【物置復旧】
塀はなるべく内部の水蒸気を外に出す為、透湿性の良い塗料を選んで、塗装しました。 物置も元の位置に戻して、固定しました。
【完了写真】
【窓枠廻り】
【外塀仕上がり】
(31)完了写真
全ての工事を終了しました。
【1階仕上がり】
【1階仕上がり】
【1階仕上がり】