施工前後比較写真
施工前
施工後
工事にあたって職人からのコメント
雨漏りは屋根だけに限らず、最近はベランダの床から雨漏りが発生して、1階のリビングの天井やクロスが濡れている又は、クロスの張替えのご要望が多い様です。詳しく写真も掲載しているので、是非参考にして下さい。
点検・調査結果報告
Ⅰ、屋根部分(塗装の有無と今後の注意点)
瓦の種類は焼き瓦が使用されています。今後も塗装は必要ありません。屋根は瓦も含めて、桟木(サンギ)やルーフィング(防水下地)が使用されています。新築時から30年~40年経過すると瓦に割れやヒビは見られなくても、雨漏りが発生する事があります。主な原因は、棟の面土(メンド)の割れやルーフィングの劣化が関係します。雨漏りに関しては、十分な注意が必要です。
Ⅱ、外壁部分(漏水による建物内部の腐食)
ベランダ内側に木片が落ちていた事について、以前から気になられていた模様です。木片は腐食しており、ベランダ内壁の補強材であることは確認できました。モルタル壁を剥がしてダメージを確認する事は出来ないので、漏水発生の原因箇所や壁の内側の補修も最低限度必要です。
工事の概略手順は、柵2箇所撤去→笠木の解体撤去→ベランダ内壁解体→漏水による木材腐食の有無とダメージの範囲を確認する→現状復旧となります。その間に、ベランダ床にも漏水の可能性があるので、1階天井裏に点検口を設けて、漏水の有無を確認すると良いでしょう。
Ⅲ、外壁部分(躯体亀裂の発生状況)
最初に戻りますが、本件の住宅外壁はモルタル壁です。モルタルとは、セメント+砂+水を混和して壁に塗り、自然乾燥させた素材の事です。
モルタル壁の特徴は、地震や台風、乾燥によりひび割れが生じやすい点です。それと、モルタルを塗る回数ですが、確認したところ1回塗りである事が分かりました。以前の塗り替えの際に、部分的に微弾性の下塗り塗料が使用されている事が分かりましたが、今後10年~20年と快適にお住いになられる為には、外壁を含む家の全体を入念に点検して、費用対効果を考えながら、適宜手直しを行う必要があると判断します。
Ⅳ、軒裏天井(塗膜の状況、その他)
軒裏は木製の垂木(タルキ)みせで、ご購入されるタイミングで業者による塗装が行われた様です。特に問題はありません。
最近ではこの様な垂木見せの家は少なくなってきました。ケイ酸カルシュウム板を使った軒裏に比べれば、頑丈な造りになっています。
使用されている塗料は、外部用のステインです。標準的な仕様です。
Ⅴ、雨樋(劣化、変形・破損の有無)
雨樋は塩化ビニール製で塗装がされています。築年数を考えると、紫外線による劣化が懸念されます。金具や雨樋のグラツキや主に横樋の勾配不良による雨水の排出が困難になっている可能性も考えられます。雨樋は素材の性質上、通常は30年前後で交換時期を迎える事が多い様です。この点を考えると、足場を組むタイミングで、雨樋の状態を再度確認しておく事も意味のある事と考えます。
Ⅵ、木部(塗膜劣化、汚染・腐食などの有無)
木造の住宅ですが、木部は軒裏の垂木以外は出窓の庇(ヒサシ)枠以外はあまり表に露出していません。この点は評価に値すると考えます。
今のところ、特筆すべき事は無い様です。今後外壁や板金部分からの雨漏りなどで木部に腐食が発生した場合、速やかに改修が必要になります。
この点だけは予備知識として、留意しておきましょう。
Ⅶ、鉄部(塗膜劣化、汚染・腐食などの発生状況)
外部の塗り替えの関して、木部の塗装よりも重要な個所は、鉄部の塗装です。なぜかと云えば、サビの処理が適切に行われておらず、購入する際の美観のみを考慮した塗装工事だからです。既に錆が発生していました。適切な対処法も併せて述べさせて頂きます。
Ⅷ、ベランダ周辺及びベランダ床防水の不具合箇所
ベランダ周辺はいくつかの問題点があります。①前記した様に、漏水によって内部の木材が腐食しており改修が必要です。
特筆すべきは床の防水層です。基本的に床はプロムナールーフ(金属折板防水)が使用されています。その上にウレタン防水が行われていますが、この様な工事は不適切です。床のツナギ目にひび割れが生じており、塗膜の不具合箇所もありました。このままの状態では、今後早い時期に手直しや改修工事が必要となります。適宜改修が必要と判断します。
Ⅸ、擁壁(汚染・エフロレッセンス、漏水などの発生状況)
擁壁(ヨウヘキ)の上に住宅があるので、マダラなった部分が目立ちます。一度高圧洗浄を行って、綺麗にすると大分イメージが変わります。
その他、エフロレッセンス(白華現象)や擁壁内部からの漏水についても、詳しく述べさせて頂きました。費用対効果の面からも併せてご検討ください。
施工写真ギャラリー
【施工前】
【施工中】
【施工後】
(1)2階ベランダの雨漏り(第一回の点検・調査時)
令和5年6月の第一回目の点検・調査を行いました。 その時点で、2階のベランダ内壁から腐食した木片が、落剝している事が確認されました。恐らくベランダの笠木(カサギ)板金付近からの雨漏りが発生していると推察されました。
【2階ベランダ床防水】
【塗り防水の不良とひび割れ】
【ひび割れ】
(2)ベランダ床防水層の不具合(第一回の点検・調査時)
2階ベランダの床は、金属折板床(プロムナールーフ)が施工されており、その上から直接ウレタン防水を塗布する事は不適切と判断しました。ウレタン防水を直接施工した事により、床に複数の亀裂が発生したと考えられます。 又、ウレタン防水の施工自体にミスがあり、塗膜に歪みが発生したものと判断します。
【床養生】
【床養生】
(3)足場仮設前の準備作業
工事を行う為に仮設の足場を設置しますが、その前に1階ベランダ床にキズが付かない様に、建築用合板で養生(保護)を行いました。
【足場仮設前】
【足場仮設】
【足場仮設】
(4)足場仮設工事
2階ベランダの改修工事を行う為に、足場を組みました。
【ベランダ下天井板】
【点検口開け】
【ベランダ床裏の確認作業】
(5)ベランダ下点検口設置・内部の点検
足場を組んだ後点検口を設置して、ベランダ床の裏側を目視で確認したところ、やはり梁やその周辺にシミが発生していました。現時点では、直下の部屋には異状は無いとのお施主様のお話しでしたが、ベランダ床の防水層も改修が必要と判断するに至りました。
【漏水箇所確認】
【漏水箇所確認】
【開口部を一旦塞ぐ】
(6)ベランダ床内部に点検作業
ベランダ床下を点検したところ、やはり梁に一部シミが出ていました。漏水が発生していました。 由って、床も補強工事が必要になります。
【一部解体】
【腐食部分解体】
【腐食・漏水箇所確認】
(7)2階ベランダ内壁を解体
打音検査や触診を行い、壁内部の構造材に腐食が発生していると思われる個所を一部モルタル壁を解体しました。バ板や柱なども腐食しており、全体的にモルタル壁を解体する必要がありました。
【モルタル壁解体完了】
【バ板剥がし完了】
【バ板剥がし完了】
(8)モルタル壁の解体と木部の解体
モルタル壁を一旦解体して、腐食したバ板を全て撤去しました。
【柱補強】
【柱補強】
【柱補強】
(9)柱方補強
内部の柱は補強する必要があったので、全ての柱を補強しました。
【施工前】
【施工中】
【施工後】
(10)ベランダ内壁新設工事
内部の柱方を補強した後で、内側の壁を新たに張り直しました。
【内壁の防水紙】
【ルーフィング施工】
【ルーフィング施工】
(11)ルーフィング施工
内側の壁にルーフィング(防水紙)を施工する事で、雨による木材の腐食を回避できます。
(12)サイディングボード張り
改修工事では、モルタル壁を窯業系サイディングボードに変更しました。雨水の浸入する可能性を考慮しました。
【変性シリコンコーキング】
【変性シリコンコーキング】
【釘穴パテ処理】
(13)目地のコーキングとビス穴処理
サイデングボードの目地部は変性シリコンコーキングで防水処理を行いました。ビスで固定した跡は、パテ処理を行いました。
【防錆塗装】
【壁のシーラー塗装】
【壁の中塗り】
(14)防錆塗装と壁の下塗り→中塗り
専用の下塗り塗料(水性ミラクシーラーEPOクリヤー)で塗装した後で、周りの外壁の色に合わせて、水性シリコン塗装を行いました。
【壁の上塗り】
【壁の上塗り】
【壁の上塗り完了】
(15)改修部分の壁 上塗り
水性セラミシリコンで再度上塗りを行いました。
【板金工事終了】
【板金工事終了】
【板金工事終了】
(16)笠木(カサギ)板金工事
前回の雨漏りは、笠木部分からも雨漏りの可能性があったので、今回は笠木板金の上から再度板金でカバーしました。
【エアコン室外機撤去前】
【エアコン室外機撤去前】
【エアコン室外機移動】
(17)ベランダ床防水準備
ベランダ床の防水工事を行う為に、①エアコンのガスをエアコン内部に移動した後で、②エアコンの室外機を一旦移動する必要がありました。
【ベランダ床の補強工事】
【ベランダ床の補強工事】
【ベランダ床の補強工事】
(18)ベランダ床の補強工事
工事前のベランダ床は、①金属折板防水層に直接ウレタン防水を行って、雨漏りなどの不具合が発生していました。 今回は、②建築用構造材を床に張り、床を補強した後で、FRP防水(ガラス繊維による防水)を行います。その為の下地補強です。
【ガラス繊維】
【ガラス繊維敷き】
【専用樹脂塗布】
部位:ガラス繊維敷きと樹脂塗布
ガラス繊維を敷きつめて、その上から樹脂を塗布して乾燥させ、同じ工程を繰り返し、下地を作り直しました。
【上塗り】
【上塗り】
【上塗り】
部位:FRP防水 上塗り
ガラス繊維を重ね塗りして乾燥させ、その上から上塗りを行いました。
【下塗り】
【中塗り】
【上塗り】
部位:(内部点検用の)軒裏再塗装
ベランダ床から内部の梁や柱などに雨水の浸水の有無を確認する為に、一部軒裏天井を開けました。必要な処置を講じた後で、再度ケイ酸カルシュウム板で穴を塞ぎ、再塗装を行いました。
【擁壁高圧洗浄前】
【擁壁の高圧洗浄】
【擁壁の高圧洗浄後】
部位:擁壁の高圧洗浄作業(サービス工事)
建物の不具合とは関係ありませんでしたが、擁壁は長年の汚れの付着で、イメージが悪くなっていました。一旦、高圧洗浄を行い、汚れを撤去しました。
【漏水箇所】
【漏水部分ハツリ】
【漏水部分ハツリ】
部位:漏水部分の補強工事
敷地の土中に滲みた雨水が、擁壁の表面から、断続的ににじみ出ていました。 一番目立つ箇所でもあり、排水用のパイプも機能していなかったので、新たに擁壁に穴を開ける準備として、表面のモルタルを剥がしました。
【コア抜き】
【コア抜き】
【コア抜き完了】
部位:擁壁漏水部コア抜き
排水用の穴が詰まった状態だった為、新たに機械を使って、コア抜きを行いました。
【モルタル粗塗り】
【コア抜き新設・モルタル補修完了】
【工事前の状態】
部位:漏水部の不具合箇所補修工事
擁壁の表面に漏水が原因で、コケが繁殖していました。パイプを新設する際にモルタルの補修を行いました。
【剥がれた部分】
【モルタル補修】
【門柱補修完了】
部位:モルタル剥がれ部分の補修
他にも割れなど目立つ箇所についても、モルタル補修を行いました。
【使用塗料】
【1回目塗布】
【1回目塗布】
部位:擁壁撥水材塗布1回目(サービス工事)
擁壁は高圧洗浄を行い、一旦は綺麗になりましたが、表面に撥水効果のある透明な塗料を塗り保護する事にしました。(ミクロンガード)2回塗装する必要があります。
【2回目塗布】
【2回目塗布】
【2回目塗布】
部位:擁壁撥水材塗布2回目(サービス工事)
1回目が乾燥する前に、再度2回目の塗装を行いました。
【ベランダ内壁・床防水工事完了】
【笠木板金再塗装】
【エアコン室外機再設置】
部位:足場解体前の仕上げ確認
全ての工事が終了して、足場解体前に各部の点検を行いました。エアコン室外機も元の位置に戻して、正常に作動する事を確認しました。
【足場解体】
【足場解体】
【1階床清掃】
部位:工事完了
足場解体後に、1階のベランダ床を水で洗い流しました。全ての作業が終了しました。