施工前後比較写真
施工前
施工後
点検・調査結果報告
Ⅰ、屋根部分(汚染の状況・塗膜劣化について)
O様邸の屋根は、モニエル瓦と呼ばれるセメント瓦で、輸入されたものです。現在は輸入されておらず、一般に流通していません。セメント瓦の上に塗装が行われているので、現状的には全体的に塗膜が薄くなっています。 使用されている塗料はアクリル系、若しくはウレタン系の塗料なので、耐久性能は10年が限度と判断します。
Ⅱ、外壁部分(塗膜劣化、不具合・汚染の発生状況)
外壁塗装には水性アクリルスタッコが使用されています。手で触ると判る様に、表面がザラザラしていて、コケなどの微生物、汚染や雨だれが目立ちます。この塗料のメリットは、塗膜が厚くひび割れなどが表面に出にくい特徴があります。塗料の防水・耐候性能としては、やはり10年が限度で、それ以降は、汚れの付着が目立つようになったと判断します。以上の事がらを参考に、別紙見積書を作成しました。
Ⅲ、外壁部分(塗膜劣化、不具合・汚染の発生状況)
建物の構造は木造枠組壁工法(2X4工法)です。柱や梁(ハリ)が無く、直接壁を組み上げる工法です。メリットとしては、地震に強く、内部の間取りも比較的自由に選択できます。 半面、何らかの原因で、雨水が構造体内部に浸入すると、腐食が広がり改修が困難になります。なので、極力雨水による腐食を発生させない事が重要になってきます。
Ⅳ、軒天井(塗膜劣化、汚染・雨漏の有無)
軒裏(天井)は屋根に守られた場所なので、直接雨や紫外線の影響を受けず、比較的塗膜劣化が遅い部分と言えます。但し、点検する際は、雨染みの位置や濃淡を見ながら、雨漏りが無いか?丁寧に確認作業を行いました。 全体的に言える事は、軒裏に黄砂や埃の付着で汚れが目立ちます。旧塗膜(現在使用されている塗料)は水性アクリルエマルジョンなので、耐候性能は5~8年程度です。一般的な仕様ですが、弊社ではワンランク上の塗装を行います。
Ⅴ、破風及び化粧柱・帯部分(塗膜劣化、汚染の発生状況)
破風板、幕板(帯部分)、化粧柱はどれも同じ素材の窯業系サイデングボードが使用されています。素材的には木よりも耐候性に優れています。但し表面の塗膜の防水性能が低下して、素材自体がある程度雨水を吸収するようになると、最終的には塗装しても数年で塗膜剥離が発生する恐れが出てきます。 現状使用されている弱溶剤系のウレタン塗装は、8~10年程度で塗膜が傷んできます。早めのお手入れが急務と考えます。
Ⅵ、雨樋(劣化、退色・変形・破損などの発生状況)
塩化ビニール製の雨樋は無塗装品です。従って、必ずしも塗装が必要な素材ではありませんが、現状的には紫外線の影響で、劣化しています。縦樋の色は新築当初は黒又は、濃いグレーだったものが、かなり色が褪せた状態になっています。(退色)素材的にも弾力性が低下して、温度差による伸縮に追従出来なくなると、ひび割れや欠けが発生するようです。 表面を塗装する事により、ある程度紫外線による症状の進行を遅らせる働きが期待できると考えます。
Ⅶ、金属部分(塗装の有無の確認、他)
金属部分で現場での塗装が可能な金属は、鉄のみとお考え下さい。その他の金属(アルミ・アルミ鋳物・ステンレス・ガルバリュウム・銅など)は、赤外線焼付塗装でなければ、塗膜剥離が発生する危険が高まります。写真を元に塗装の有無を確認させて頂きます。
Ⅷ、鉄部(塗装の有無、その他の確認)
鉄部の各部について、具体的に塗装の有無を確認しました。その他にも気になる箇所があれば、なんなりとお申し付けください。
Ⅸ、バルコニー床防水層の不具合について(防水膜の劣化・雨漏りの可能性)
本報告書において、特にご理解頂きたい重要な部分です。 コピーして頂いた平面図によれば、2階の南側にバルコニーが2箇所、北側にポーチが1箇所あります。実際ハシゴを使って確認しましたが、①ポーチの排水口にコケが堆積して、排水が困難な状態です。このまま放置すると階下に雨漏りが発生する危険が高まります。 ②南東側のバルコニーを下から点検しました。本報告書のⅡ、外壁部分でもご指摘した様に、バルコニー床の防水層の劣化が原因で、雨漏りの発生が懸念がされます。
Ⅹ、外塀(仕上げ材の劣化・汚染の発生状況)
外塀は仕上げにレンガを張った部分と、モルタル仕上げ面に水性アクリルスタッコ塗装面とになっています。雨汚れに微生物汚染が目立ちます。高圧洗浄である程度汚れは除去可能な部分と汚れが落ちない部分もあると判断します。白い粉状の固形物はセメントの成分である、炭酸カルシュウムが雨水と一緒に表面ににじみ出る現象エフロレッセンス(白華現象)なので、止める事は出来ません。
施工写真ギャラリー
【ケラバ屋根施工前】
【2階屋根施工前】
【2階屋根施工前】
(1)屋根施工前
モニエル瓦表面の塗膜が劣化しており、粉状になった旧塗膜が樋の内側に堆積している状態でした。
【外壁隙間】
【幕板チョーキング】
【塀の白華現象】
(2)外壁周辺施工前
外壁の塗膜劣化が進行しており、諸所に隙間が生じて、雨水の浸入が危惧される状態でした。 幕板や化粧柱、その他の塗膜も防水性能が極端に低下していました。
【コロニアルの欠け①】
【コロニアルの欠け②】
【施ひび割れ】
(3)前工事(サービス工事)
見積りの時点で、ベランダの排水路にコケが堆積していました。構造上、室内から出入りが出来なかったので、雨漏りを危惧してコケを全て撤去しました。
【1階ベランダ天井板】
【1階ベランダ天井板の仮撤去】
【】
(4)足場仮設準備と立木の撤去(サービス工事)
足場を組む際に、ベランダの屋根板が邪魔になるので、ご了解をいただき、一時撤去させて頂きました。 又、敷地内の植木が立ち枯れの状態だったので、シロアリの被害を考慮して、根元から撤去しました。
【足場設置完了】
【足場設置完了】
【屋根足場】
(5)足場仮設工事
足場を全周に組んで、勾配が急な屋根にも足場を組みました。
【破風板の点検】
【2階窓廻り】
【水切り板金】
(6)足場仮設後の再点検
足場を組んだ後で、2階の屋根から順に、外部の状態を再点検しました。その結果、一部の水切り板金を固定している壁に不具合が生じている事や壁の隙間の正確な場所、外壁のひび割れなどが判明しました。
【西側柱のコーク】
【外壁入隅のコーク】
【幕板角】
(7)コーキング工事
構造上、外壁に隙間が生じていたので、洗浄前に変性シリコンコーキングで隙間やひび割れを処理しました。
【屋根洗浄】
【屋根洗浄】
【屋根洗浄】
(8)屋根の高圧洗浄作業
コケや旧塗膜が劣化していたので、丁寧に洗浄を行いました。
【軒裏洗浄】
【外壁洗浄】
【玄関周りの洗浄】
(9)外壁、その他の高圧洗浄作業
黄砂や埃などを丁寧に洗い流しました。
【ベランダ廻り】
【エアコン室外機】
【土間を布で覆う】
(10)養生作業
非塗装面への塗料の飛散を防ぐ目的で、ビニールや布でカバーする作業を養生と云います。 他にも、車には毎回専用のカバーを被せました。
【ひび割れ部分の補強】
【ひび割れ部分の補強】
【ひび割れ部分の補強】
(11)ひび割れ部分の補強
外壁にひび割れ(クラック)が生じていました。原因としては、地震や強風によるものと考えられます。 全体に下塗りを行う前に、部分的な補強を行いました。
【使用塗料】
【下塗り塗料】
【1階上塗り完了】
(12)外壁の下塗り
水性ソフトサーフSGで、下塗りを行いました。
【使用塗料】
【中塗り塗装】
【中塗り塗装】
(13)外壁の中塗り
水性セラミシリコン(SR-419)で、中塗りを行いました。
【使用塗料】
【上塗り塗装】
【上塗り塗装】
(14)外壁の上塗り
中塗り同様の工程で、外壁の仕上げを行いました。
【使用塗料】
【屋根の下塗り】
【屋根の下塗り】
(15)屋根の下塗り
マイルドシーラーEPOクリヤーで、モニエル瓦の下塗りを行いました。 下塗り塗料は乾燥すると塗装の有無が分からないので、工程写真は特に重要です。
【使用塗料】
【屋根の中塗り】
【屋根の中塗】
(16)屋根の中塗
ヤネフレッシュSi(RC-142)で、中塗りを行いました。
【ジャッキベース写真】
【ジャッキベース下の下塗り】
【ジャッキベース下の下塗り】
(17)ジャッキベース下の補修塗装
屋根足場を組む際に、屋根の瓦に支柱を設けます。その全て(今回は14カ所)を一旦外して、下塗り→中塗りを行いました。
【瓦の欠損部分】
【コーキング補修】
【コーキング補修】
(18)瓦の欠けコーキング補修
瓦に欠損部分が複数個所ありました。落剝しているので、上塗りを行う前に、コーキングで補修を行いました。
【使用塗料】
【屋根の上塗り】
【屋根の上塗り完了】
(19)屋根の上塗り
コーキング補修→ジャッキベース補修塗装後に、仕上げ塗装を行いました。
【立上り部分カチオンセメント塗布】
【立上り部分カチオンセメント塗布】
【床面カチオンセメント塗布】
(20)ベランダ・ポーチ床防水工事(下地調整)
2階の南側2箇所と北側1箇所の防水床面が経年劣化により、防水機能が低下していました。雨漏りも懸念されるので、追加工事でFRP防水を行う事になりました。 最初の段階として、床面と立上り部に、カチオンセメントで下地調整を行いました。
【立上り・床面下塗り】
【ガラス繊維敷き】
【立上り部分同工程】
(21)下塗り→ガラス繊維施工
専用のシーラーを塗った後で、ガラス繊維を全体に敷き詰めました。
【ウレタン上塗り】
【ウレタン上塗り終了】
【使用防水材】
(22)ウレタン上塗り
トップ層のウレタン防水を塗布して、防水工事を終了しました。
【使用塗料】
【下塗り】
【下塗り】
(23)軒裏下塗り
ナックベース白(SR-103)で、軒裏天井の下塗りを行いました。
【上塗り】
【上塗り】
【上塗り終了】
(24)軒裏上塗り
下塗り同様の工程で、再度上塗りを行いました。
【使用塗料】
【下塗り】
【下塗り】
(25)破風板下塗り
クリーンマイルドシリコンSR-419(壁と同色)で、破風板の下塗りを行いました。
【破風板上塗り】
【ケラバ破風上塗り】
【上塗り終了】
(26)破風板上塗り
ケラバの破風板は、紫外線や雨が当たる所なので、塗る回数を多く塗料を塗布しました。
【使用塗料】
【縦樋下塗り】
【縦樋下塗り】
(27)雨樋の下塗り
クリーンマイルドシリコン黒で、雨樋の下塗りを行いました。
【縦樋上塗り】
【横樋上塗り】
【横樋上塗り終了】
(28)雨樋の上塗り
再度クリーンマイルドシリコン黒で、上塗りを行いました。
【幕板不具合箇所の手直し】
【幕板下塗り】
【化粧柱下塗り】
(29)幕板・化粧柱の下塗り
窯業系サイデングボード製の幕板や化粧柱は、表面の塗膜が劣化して、雨水で素材自体が解け始めていました。このまま塗装しても、直ぐに塗膜剥離の可能性が高く、下塗りを塗布した後で、シリコンコーキングで被膜を作り、その上から下塗りを行いました。
【東側玄関付近】
【西側】
【北側】
(30)化粧柱・幕板の上塗り
クリーンマイルドシリコンで、上塗りを再度行いました。
【シャッターボックスケレン作業】
【下塗り】
【上塗り】
(31)シャッター雨戸収納部の塗装
シャッター雨戸を再塗装すると、不具合発生が危惧されるので、収納部のみを現状色に色合わせして、下塗り→上塗りの順に塗装しました。
【基礎板金】
【照明具】
【下塗り】
(32)鉄部塗装
クリーンマイルドシリコン黒で、鉄部の下塗りを行いました。
【足場解体】
【足場解体】
【足場解体】
(33)仮設足場の解体と清掃
仮設足場を解体しました。家の廻りを清掃しました。
【防水ウレタン再塗装】
【防水トップ再塗装】
【防水工事手直し完了】
(34)足場解体後の完了写真
足場設置の為、一部最後の工程が出来ませんでした。 解体後に、再度ウレタン塗布→トップ再塗装を全体的に行いました。
【東側玄関付近】
【西側】
【北側】
(35)塀の塗装(サービス工事)
ブロックを組んだ塀に関しては、ブロック内部に溜まった湿気が温まる事で、塗装した場合膨れを生じる場合があります。今回はサービス工事として、調湿効果及び、透湿性を考慮して、塗料を選び、調色を行って塗装しました。サービス工事は、保証の対象外とさせていただきます。
【薬剤噴霧】
【金網設置】
【完了】
(36)換気口金網設置(サービス工事)
工事前の調査で、一部の換気口にコウモリのフンが確認されました。既に金網は設置されていましたが、今回限定的ではありますが、再度金網を取り付けました。
【塗装中】
【塗装終了】
【扉塗装】
(37)木部・扉塗装(サービス工事)
目隠し板と扉を塗装しました。
【外した状態】
【取付】
【取付完了】
(38)ベランダ天井板再設置
足場設置の前に取り外していた天井板を再度取り付けました。 全ての作業が終了しました。